とやま起業未来塾: 知的財産の有効活用

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知的財産の有効活用



かって富士通(株)取締役副会長であった、鳴戸道郎氏は「大企業の未活用資産の有効活用」を説いている。

鳴戸氏は日本経団連起業創造委員会企画部会長として、

大企業の研究開発の80%をしめる未活用技術を有効化すべし

 オープン・イノベーションの時代と言われているが,これは2つの流れによって新規の産業や市場を創出することを意味する。1つは,自社の技術を他社に対してオープンにするという流れ,もう1つは外部の技術を社内に取り入れるという流れである。前者に関しては,大企業の研究開発成果の約80%が活用されずに,埋もれてしまっているという現状がある。研究投資という観点からも,研究者のモチベーションの低下という観点から見ても,勿体ないことこの上ない。

 活用されない理由は様々だが,例えば市場規模が小さいため,事業化を断念したという場合がある。この場合,研究成果や研究に携わった研究者は未活用資産になってしまう。しかし,(大企業にとっては市場が小さくても)ベンチャー企業や中小企業にとっては十分に魅力的な市場かもしれない。このような企業と積極的に提携して事業化したり,カーブアウトといった手法で起業化したりして,研究成果をオープンにすることが有効活用の道を広げる。 中略 具体的には,大企業の未活用技術とベンチャー企業や中小企業とのマッチングを実施している。今まで複数の案件を手掛け,大企業側の姿勢の変化や中小企業,ベンチャー企業の期待の高まりなど,手ごたえを感じて始めている。

ベンチャー企業に対して経営マインドや経営能力をオープン化

 また,欧米と比べ,日本はベンチャー企業をサポートする環境が充実しておらず,起業家の意識に差がある。そのため,日本ではベンチャー企業が“大化け”しにくい。

 例えばシリコンバレーでは,大企業側にも積極的にベンチャー企業の製品を使うといった先取りの意識が高い。また,積極的にベンチャー企業に対して技術的アドバイスをする協力的な精神風土がある。株式公開(IPO)をゴールとするような単なる投資ビジネスではなく,産業として育成していくという土壌があり,起業家もこうした気概を持って,失敗を恐れずに立ち向かっていく。こうした環境や意識の差が大きいのではないだろうか。

 こうした世界との差を埋めるために,日本経団連で「メンター研究会」を立ち上げ,ベンチャー企業の支援に乗り出そうとしている。ベンチャー企業が高い志を持ち,幾多の障害を乗り越えて,事業を成長させていくためには,大企業側の協力・支援が不可欠であると考えたからである。大企業には,ただ会社の歯車として仕事を忠実にこなしてきた人材だけではなく,高い経営能力や優れた経営マインドを備えた人材が多く存在している。大企業ならではの人脈や情報もある。特に,事業の加速化段階や成長段階における大企業出身者の経験や見識は,ベンチャー起業家と共有すべきものである。こうした経営アドバイス,メンタリングは,ベンチャー企業の発展のために非常に有効であると考える。

 現在,メンター研究会は2007年度からの本格的なメンタリング活動実施に向けて,制度や仕組みを構築中である。大量退職時代を迎えた今,大企業内に隠れた能力をベンチャー企業に開放して,社会的に有効活用する仕組みを作ることは,非常に重要であると考えている。

大企業の経営者は,経営改革を断行せよ

 大企業の経営者は,オープン・イノベーション時代に即した意識に切り替えていくことが重要である。オープン・イノベーション時代では,組織の中での個々人の裁量や能力に依存する部分が増えてくる。これらを,いたずらに社内に閉じ込めておくのではなく,最大限有効活用することが,日本の産業力強化につながり,結果的に大企業の利益として還元されることになる。こうした視点でオープン・イノベーションをとらえ,経営マインドを変革することが大切である。

 私が顧問を務める富士通では,今まで20件のベンチャー企業を創出している。経営陣が奨励し,積極的にバックアップした結果である。研究者は,高いモチベーションを持って活躍している。経営者自身が,企業間異動する時代である。企業を超えて「適材適所」を実践していく時代なのである。「社内資産が十分に有効利用されていない=不良在庫を抱えている」という認識で,経営改革をリードしていってほしい。

と述べておられる。

宝の持ち腐れは罪であり、中小企業により陽の目を見ることは、誠に良いことである。社会に貢献することでもある。



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